グローバル化が謳われて久しい昨今、
と思われる方は多いと思います。
また、芸術が好きな方は、
と考えたことがあると思います。
そこで、
と書店に足を運び、馴染みのない宗教(キリスト教)のコーナーを見てみると意外や意外、大中小、色々な種類の聖書が置いてあるのに気付くと思います。
と戸惑い、結局、どれも買わずに帰ってくるという経験のある方は少なくないのではないでしょうか。
ということで、この記事では聖書を初めて買おうとしている人を対象に、代表的な聖書(の翻訳)の種類と特徴を簡単に比較した上で、お薦めの聖書を紹介します。
英語で聖書を読むことに興味のある方は下記の記事を参照ください。
キリスト教全般の入門書および聖書の内容解説の入門書について興味のある方は下記の記事をご覧ください。
「聖書をもっと詳しく勉強してみたい」と思われる方は下記の記事内の推薦図書が役立つと思います。
今回の話の流れ(目次)は以下の通り。
聖書翻訳の種類と特徴比較
そもそものところ、なぜ色々な聖書があるのかというと、聖書には色々な日本語訳があるからです。
聖書は大きく旧約聖書と新約聖書に分かれますが、旧約聖書のほとんどはヘブル語(一部、アラム語で書かれている箇所もあります)、新約聖書はギリシャ語で書かれています。
従って、日本語で聖書を読むためには当然、それらの言語を日本語に翻訳する必要があります。しかし、人が訳す以上、その訳が同じになるとは限りません。
以下が代表的な日本語訳です。
- 新共同訳(最新の訳は聖書協会共同訳)
- 新改訳
- リビングバイブル訳
- フランシスコ会聖書研究所訳
下記では、それぞれの特徴を簡単に比較していきます。
新共同訳(聖書協会共同訳)聖書
まずは「日本聖書協会」が出版している「新共同訳聖書」。
この聖書はカトリックとプロテスタントが「共同」で翻訳したもので、特徴は
ところ。1
こちらの聖書の強みは、なんと言っても日本の大部分の教会(カトリックを含む)で用いられていること。2
間違いなく、日本を代表する聖書訳です。
私が最初に読んだのは新共同訳聖書の一世代前の「口語訳聖書」でした。それから、次項で紹介する「新改訳聖書(第三版)」、そして比較的最近になって「新共同訳聖書」と読んできましたが、日本語としての読みやすさは「新共同訳」が一番だと個人的には思っています。
ただし、「新改訳」は2017年10月に改訂版が出版されました。こちらは、その前の第三版に比べるとかなり読みやすくなっているように感じます。
なお、新共同訳聖書は1987年に初版が発行されていますが、2018年12月に新しい訳の「聖書 聖書協会共同訳」が出版されました。
「聖書協会共同訳」の特徴と「新共同訳」との違いについて、興味のある方は下記の記事をご覧ください。
新改訳聖書
新共同訳聖書と並ぶ日本の代表的な聖書といえば「新日本聖書刊行会」の「新改訳聖書」です。
新改訳聖書は、新共同訳聖書とは異なり、カトリック教会で使われることがありません。
従って、教会全体(カトリックとプロテスタント)では新共同訳聖書よりも使用頻度は劣りますが、プロテスタントの教会に限ると新改訳聖書を使っている教会は少なくありません。
ちなみに、私が個人的に一番馴染みのある聖書は、この「新改訳聖書(第三版)」です。
なお、前項でも書いたように、2017年10月に改訂版が出たばかりです。
2017年版の特徴としては、
しています。3
個人的には確かに、2017年版は第三版よりも日本語的に読みやすくなっていると感じています。ので、これからお買い求めの場合は2017年版をお薦めします。
リビングバイブル
前項までで紹介した新共同訳聖書と新改訳聖書は、聖書が元々書かれている言語(旧約聖書は主にヘブル語、新約聖書はギリシャ語)を基にして日本語に翻訳しています。
しかし、ここで紹介する「リビングバイブル」は原語から英語に訳された聖書を日本語に訳したものです。
こちらの聖書の特徴は
それもそのはず、元々の英語訳の聖書は原文を意訳(文字通りではなく、全体の意味に重点を置いた訳)したものだからです。
このため確かに、読みやすさと引き換えに原文の意味や表現の深さが犠牲になる箇所もあります(原文で分かりにくいところを分かりやすくするために、意訳する人の解釈や表現方法が多分に入ってくるため)。
が、初めて聖書を読む分にはまず問題ないと思います(ただし、意訳されていると知った上で読み進めることは大事だと思います)。
聖書に難しさを感じる人やキリスト教についてまだよく知らない人におススメの日本語訳です。
こちらも2016年に「改訂新版」が出版されていますので、これから購入を考えている方は最新版をお求めください。
フランシスコ会訳聖書
最後に紹介する日本語訳聖書は「フランシスコ会聖書研究所」が翻訳した「フランシスコ会訳聖書」です。
こちらはカトリック教会公認の聖書訳ですので、プロテスタント教会で見かけることはまずありません。
特徴としては、
ところ。
また、
ので、聖書をもう少し詳しく勉強したいと思われる方にはお薦めです。4
ただし、解説や注の内容はカトリックの教えに基づいているため、プロテスタントの教えと異なるところがありますのでご注意ください。
お薦めの聖書翻訳
さて、前節で紹介した代表的な日本語訳聖書の特徴を踏まえた上で、初めて聖書を買おうとする人に私がおススメするのは、
です。しかも、できれば、最新版となる「聖書 聖書協会共同訳」(2018年12月発売)をお薦めします。
ただし、
私が新共同訳(聖書協会共同訳)聖書をお薦めする一番の理由は、カトリックも含めた日本の大部分のキリスト教会で広く使われているからです。
なお、聖書には書かれている文字の大きさに比例して「小型(A6判)」「中型(B5判)」「大型(A5判)」の聖書があります(ページ数は同じです)。
が、初めて聖書を買おうとする人は、小さい文字でも気にならないのであれば、「小型」で十分だと思います。理由は、値段が一番安くて軽いからです。
ちなみに、聖書の重さが気になる私にような方は、スマホのアプリでも聖書が読めますので、そちらを検討しても良いかもしれません。
あと、新共同訳聖書には「旧約聖書続編付き」と書かれたものと書かれていないものがあります。
「旧約聖書続編」というのは、カトリックでは正典(「第二正典」とも呼ばれる)として認められているもののプロテスタントでは正典とは認められていない(「外典」と呼ばれる)文書です。
「正典」というのは、それぞれの教会・教団に公認された信仰の基準となる文書で、「聖書」と呼ばれるものは通常、「正典」を指しています。
平たく言うと、
ということになります。
ですので、まだあまりキリスト教のことを知らない方にとって、「旧約聖書続編」というのは正直、あってもなくてもそれほど問題にはならないと思います。が、カトリックとプロテスタントの違いに興味のある方は是非とも読んでみてください。
いずれにしても、実際に買う前に書店などで一度、見比べてください(値段と重さも)。
その上で、
と感じられた方には「リビングバイブル」をお薦めします。
リビングバイブルも「ちょっと無理そうだな…」と思われる方には、漫画で描かれた聖書もありますので、そちらをお試しください。
以上、ご参考まで。
注釈
- 詳細は下記を参照。https://www.bible.or.jp/know/know20.html
- 日本聖書協会の「聖書カタログ2018-2019」によると「日本の8割の、教会およびキリスト教主義学校で用いられている」そうです。
- 詳細は下記を参照。https://www.seisho.or.jp/s2017/features/
- 詳細は下記を参照。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%82%B3%E4%BC%9A%E8%A8%B3%E8%81%96%E6%9B%B8