キリスト教って何?聖書の内容は?―初心者におすすめの入門書―


日本にいるとそれほど実感はありませんが、キリスト教は世界で一番信者数が多い宗教です。

全世界の信者数でいうと、2015年の時点でキリスト教徒は約23億人、イスラム教徒は約18億人、仏教徒は約5億人だそうです。1

ですから、宗教には興味がない人であっても、一般的な教養として

キリスト教ってどんな宗教(教え)なんだろう?
聖書には一体何が書いてあるのか?

と思われる方は少なくないと思います(無神論者時代の私もそうでした)。

そんな方を対象として、聖書の内容を簡単に紹介した記事を幾つか書いてきました。

旧約聖書と新約聖書、何がどう違う?ー初心者向けの簡単な内容紹介ー
キリスト教の聖典である聖書が「旧約聖書」と「新約聖書」の二つに分かれていることは知っていても、その二つの「どこがどう違う」かを説明できる人は少ないはず。という訳で、まだ聖書を読んだことが無い人を対象に旧約聖書と新約聖書の違いについて説明します。
分厚い聖書、何が書いてある?ー初心者にも分かる簡単な内容解説ー
聖書の総発行部数はギネス世界記録。でも「聖書は分厚過ぎてなかなか読む気がしない」という人は多いはず。今回はまだ聖書を一度も読んだことが無い人を対象に、(興味の度合いによって)2-3分から20-30分で一気に読み切れる聖書の内容解説を試みます。

しかし、その内容は多岐にわたりますので、残念ながら(というか当たり前のことですが)、私の記事だけでは十分に語りつくすことはできません。

ということで、この記事ではキリスト教(聖書)初心者の方を対象として、「キリスト教の教義全般の入門書」および「聖書の内容解説の入門書」を紹介したいと思います。

もちろん、私はまだまだ不勉強ですので、いまだに読んでいない良書が数多くあります。以下に挙げていない文献の中で、読者の皆様が是非ともお薦めしたい書籍がありましたら、お手数ですが、ご一報くださいますと幸いです。

なお、最終的には入門書だけでなく、実際に聖書をご自分で読んでいただくのが一番良いと思います。が、聖書は意外に種類(日本語訳)がたくさんありますので、どの聖書を購入すべきかについて興味のある方は下記の記事を参照ください。

初めての聖書、どれを買うべき?ー初心者におすすめの日本語訳聖書ー
「聖書」と一口でいっても、色々な種類があります。このため、私もそうでしたが、初めて聖書を買おうとする時は、どの聖書を買えばよいのか間違いなく悩みます。そんな方のために、代表的な日本語訳聖書の種類と特徴を簡単に比較した上で、お薦めの聖書を紹介します。

また、「聖書をもっと詳しく勉強してみたい」と思われる方は下記の記事内の推薦図書をご覧ください。

聖書勉強に役立つおすすめ本―聖書を読む・学ぶための入門書―
聖書に大分慣れてきて「もっと詳しく聖書の中身を勉強したい!」と思われる方を対象に聖書を(一人で)読む・学ぶときに役立つと思われる入門書を紹介します。具体的には「聖書の読み方・学び方」「聖書の背景情報」「聖書の内容解説」に関する書籍です。

今回の話の流れ(目次)は以下の通り。

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キリスト教の教義全般の入門書

一口に「キリスト教の入門書」と言ってもたくさんあります。中には

これで本当に「入門書」なの?

と言いたくなるほど小難しい内容のものまで様々です。そんな中で比較的読みやすく、かつ内容も絞られた良書として以下を最初に挙げたいと思います。

隅谷 三喜男 (著)、出版社 日本基督教団出版局 (2007/06)

上記の書籍は、キリスト教徒が何をどのように信じているのかについて、専門用語で「使徒信条」と呼ばれる信仰箇条をもとに丁寧に説明しています。

キリスト教は大きく西方教会(カトリック、聖公会、プロテスタント)と東方教会(正教会、東方諸教会)に分かれますが、「使徒信条」は西方教会で広く採用されています。このため、

キリスト教の中身の全体像を抑えるには非常に役立つ

と思います。

次は少し内容が難いと感じるかもしれませんが、昔ながらの良書として以下を挙げておきます。

矢内原 忠雄 (著)、出版社 中央公論新社 (2012/4/21)

上記の本は、東大の総長も務めた矢内原忠雄氏が1952年(昭和27年)に「学生に贈る人生の書」と銘打って執筆されたものの復刻版です。

後半部分に収められている「無教会早わかり」という部分には、キリスト教の中でも「無教会派」と呼ばれる団体の特徴が記されています。が、それ以外の部分については、キリスト教の根幹部分の教えを知的な学生向けに理性的に説明しようとされています。

考えることが好きな方にとっては、キリスト教以外についても学ぶところが色々とありそうな本

だと思います。

次に紹介するのは、上記の二つと少し趣きが異なる一冊。

上記の書籍はキリスト教の教えを体系的に説明するというよりも、キリスト教や聖書の内容にまつわる素朴な疑問に答えるかたちで書かれています。

著者の岡野昌雄氏は聖職者(牧師や神父)ではなくアウグスティヌスというキリスト教の思想家の研究者で、一人のクリスチャンとしての意見・思い・考えをまとめてくださっています。

日本人がひっかかりやすい事柄や疑問について、「キリスト教『超』入門」という副題にふさわしい軽快な語り口で説明してあり一気に読み進めることができる

と思います。

最後に、キリスト教全般の質問に対して簡潔に答えてくれるものとして、以下を挙げておきます。

HiーB.A. (著)、出版社 いのちのことば社 (1994/08)

上記の書籍は「Hi-B.A. = High School Born Againers (高校生聖書伝道協会)」と呼ばれる団体の著作で、キリスト教に対して高校生が抱くであろう疑問に対して、分かりやすく簡潔に答えているものです。

ページ数が少ないので内容自体には若干物足りなさを感じるかもしれませんが、扱っている内容は幅広く入門書としては手頃

だと思います。が、残念ながら、中古以外で手に入れるのは難しそうな感じです(2019年8月時点)。

聖書の内容解説の入門書

前節では、キリスト教の教え全般に関する入門書を紹介しました。

今節では、キリスト教の聖典である聖書には一体何が書いてあるのかを教えてくれる入門書を紹介します。

まず最初は以下の書籍。

上記の書籍はその名の通り「『聖書は初めて』という人のための本」で、聖書に関する基本的な事柄(旧約聖書と新約聖書の違いや聖書内の「章」や「節」についてなど)から始まって、その簡単な内容、テーマ、読み方などを簡潔にまとめてくれている良書です。

聖書に何が書いてあるのかを全く知らずに「聖書とは何か?」を学びたいときに最初に読みたい本

だと思います。

次にお薦めするのは図解入りで断然読みやすい以下のもの。

上記の本の特徴は何といっても図解入りなところで、聖書に出てくる主なエピソード(物語)を分かりやすく説明してくれます。

ただし、エピソード(物語)主体な構成となっていますので、聖書の中に含まれる物語形式以外の個所(旧約聖書の詩編や預言書、新約聖書の手紙など)についてはほとんど記されていません

とはいえ、やはり図解入りなので内容は分かりやすく、

受験用の歴史の参考書を読んでいるかのような感覚で聖書の中身を理解することができる

と思います。

最後に紹介するのは、聖書の内容解説の入門書としては少し難しい部類に入るかもしれません。が、前出の書籍と同じ著者の作品を挙げておきます。

大島 力(著)、出版社 日本基督教団出版局 (1998/07)

上記の書籍は、旧約聖書と新約聖書それぞれの全体像と中心的テーマに焦点をあてながら、「聖書は何を語るか」を教えてくれるものです。

また、「文学としての聖書」と「正典としての聖書」といった視点から聖書の内容を解説してくれるのは特長的だと言えます。

聖書の全体的な内容やテーマを俯瞰的に理解しようとするには最適な入門書

だと思います。

以上、ご参考まで。

注釈

  1. ちなみに、信者の数だけなら「無宗教(unaffiliated;中国の共産主義を含む)」の約12億人、ヒンズー教の約11億人の方が仏教よりも多いようです。Conrad Hackett and David McClendon, “Christians Remain World’s Largest Religious Group, but They Are Declining in Europe,” Pew Research Center, April 5, 2017, accessed January 24, 2018, http://www.pewresearch.org/fact-tank/2017/04/05/christians-remain-worlds-largest-religious-group-but-they-are-declining-in-europe/.
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