初めての聖書、どれを買うべき?ー初心者におすすめの日本語訳聖書ー

グローバル化が謳われて久しい昨今、

世界三大宗教の一つと言われているキリスト教のことを勉強しておけば、外国人とのやり取りがスムーズになるかも…

と思われる方は多いと思います。

また、芸術が好きな方は、

欧米の文化をより深く味わうためには、その背景にあるとされるキリスト教文化を知っておいた方が良いかも…

と考えたことがあると思います。

そこで、

キリスト教を学ぶため、聖書でもちょっと読んでみるか

と書店に足を運び、馴染みのない宗教(キリスト教)のコーナーを見てみると意外や意外、大中小、色々な種類の聖書が置いてあるのに気付くと思います。

えっ、聖書って一つじゃないの!?どれを買えばいいんだ…

と戸惑い、結局、どれも買わずに帰ってくるという経験のある方は少なくないのではないでしょうか。

ということで、この記事では聖書を初めて買おうとしている人を対象に、代表的な聖書(の翻訳)の種類と特徴を簡単に比較した上で、お薦めの聖書を紹介します

英語で聖書を読むことに興味のある方は下記の記事を参照ください。

英語の聖書はどれがおすすめ?ー翻訳の種類と特徴による比較・分類ー
英語の聖書の種類と特徴を大まかに比較・分類した上で、「キリスト教の教えよりも英語に興味がある方」「キリスト教の教えを原典に忠実な英語で学びたい方」「なにはともあれ英語で聖書を読んでみたい方」を対象に、個人的なおすすめ英語訳聖書をそれぞれ紹介します。

キリスト教全般の入門書および聖書の内容解説の入門書について興味のある方は下記の記事をご覧ください。

キリスト教って何?聖書の内容は?―初心者におすすめの入門書―
宗教には興味がなくても、一般的な教養として「キリスト教はどんな宗教(教え)なんだろう?」「聖書には何が書いてあるのか?」と思われる方は少なくないと思います。そんな方にお薦めしたい「キリスト教の教義全般」と「聖書の内容解説」の入門書を紹介します。

「聖書をもっと詳しく勉強してみたい」と思われる方は下記の記事内の推薦図書が役立つと思います。

聖書勉強に役立つおすすめ本―聖書を読む・学ぶための入門書―
聖書に大分慣れてきて「もっと詳しく聖書の中身を勉強したい!」と思われる方を対象に聖書を(一人で)読む・学ぶときに役立つと思われる入門書を紹介します。具体的には「聖書の読み方・学び方」「聖書の背景情報」「聖書の内容解説」に関する書籍です。

今回の話の流れ(目次)は以下の通り。

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聖書翻訳の種類と特徴比較

そもそものところ、なぜ色々な聖書があるのかというと、聖書には色々な日本語訳があるからです。

聖書は大きく旧約聖書と新約聖書に分かれますが、旧約聖書のほとんどはヘブル語(一部、アラム語で書かれている箇所もあります)、新約聖書はギリシャ語で書かれています。

従って、日本語で聖書を読むためには当然、それらの言語を日本語に翻訳する必要があります。しかし、人が訳す以上、その訳が同じになるとは限りません。

以下が代表的な日本語訳です。

  • 新共同訳
  • 新改訳
  • リビングバイブル訳
  • フランシスコ会聖書研究所訳

下記では、それぞれの特徴を簡単に比較していきます。

新共同訳聖書

まずは「日本聖書協会」が出版している「新共同訳聖書」

この聖書はカトリックとプロテスタントが「共同」で翻訳したもので、特徴は

教会内外の人に分かる平易な言葉を用いながらも気品ある文体となるように訳されている

ところ。1

こちらの聖書の強みは、なんと言っても日本の大部分の教会(カトリックを含む)で用いられていること。2

間違いなく、日本を代表する聖書訳です。

私が最初に読んだのは新共同訳聖書の一世代前の「口語訳聖書」でした。それから、次項で紹介する「新改訳聖書(第三版)」、そして比較的最近になって「新共同訳聖書」と読んできましたが、日本語としての読みやすさは「新共同訳」が一番だと個人的には思っています。

ただし、「新改訳」は2017年10月に改訂版が出版されました。私はこの改訂版を全部はまだ読んでいませんが、その前の第三版に比べるとかなり読みやすくなっているように感じます。

なお、新共同訳聖書は1987年に初版が発行されていますが、2018年12月初旬には新しい訳の「聖書 聖書協会共同訳」が出版されるようです。もし、これから聖書を購入しようと思われている人は最新版を買うことをお勧めします。

「聖書協会共同訳」の特徴と「新共同訳」との違いについて、興味のある方は下記の記事をご覧ください。

聖書の「新共同訳」が新しく「聖書協会共同訳」になる!?違いと特徴は?
日本の大部分の教会(カトリックとプロテスタント)で使用されている「新共同訳聖書」。その発行から31年、新しい聖書訳となる「聖書協会共同訳」が日本聖書協会から2018年12月初旬に出版されます。新訳の主な特徴と変更箇所を実例を挙げて簡単に紹介します。

新改訳聖書

新共同訳聖書と並ぶ日本の代表的な聖書といえば「新日本聖書刊行会」の「新改訳聖書」です。

新改訳聖書は、新共同訳聖書とは異なり、カトリック教会で使われることがありません。

従って、教会全体(カトリックとプロテスタント)では新共同訳聖書よりも使用頻度は劣りますが、プロテスタントの教会に限ると新改訳聖書を使っている教会は少なくありません

ちなみに、私が個人的に一番馴染みのある聖書は、この「新改訳聖書(第三版)」です。

なお、前項でも書いたように、2017年10月に改訂版が出たばかりです。

2017年版の特徴としては、

原文に忠実でありながらも簡潔で読みやすい表現を用いた訳文で、漢語よりも和語を大切にし、第三版までとは違って、詩文と散文といったジャンルに応じた文体も採用

しています。3

個人的には確かに、2017年版は第三版よりも日本語的に読みやすくなっていると感じています(ただし、まだ全部は読み切れていません)。ので、これからお買い求めの場合は2017年版をお薦めします。

リビングバイブル

前項までで紹介した新共同訳聖書と新改訳聖書は、聖書が元々書かれている言語(旧約聖書は主にヘブル語、新約聖書はギリシャ語)を基にして日本語に翻訳しています。

しかし、ここで紹介する「リビングバイブル」は原語から英語に訳された聖書を日本語に訳したものです。

こちらの聖書の特徴は

圧倒的な読みやすさ

それもそのはず、元々の英語訳の聖書は原文を意訳(文字通りではなく、全体の意味に重点を置いた訳)したものだからです。

このため確かに、読みやすさと引き換えに原文の意味や表現の深さが犠牲になる箇所もあります(原文で分かりにくいところを分かりやすくするために、意訳する人の解釈や表現方法が多分に入ってくるため)。

が、初めて聖書を読む分にはまず問題ないと思います(ただし、意訳されていると知った上で読み進めることは大事だと思います)。

出版社である「いのちのことば社」の紹介文(pdfファイル)にもあるように、「聖書が難しいと感じる方」、「キリスト教の予備知識が少ない方」におススメの日本語訳です。

こちらも2016年に「改訂新版」が出版されていますので、これから購入を考えている方は最新版をお求めください。

フランシスコ会訳聖書

最後に紹介する日本語訳聖書は「フランシスコ会聖書研究所」が翻訳した「フランシスコ会訳聖書」です。

こちらはカトリック教会公認の聖書訳ですので、プロテスタント教会で見かけることはまずありません。

特徴としては、

原文に忠実でありながら理解しやすい明解な表現を用いて気品ある文体となるように訳されている

ところ。

また、

聖書内の各書の解説が記され、本文中にも詳細な注が付されている

ので、聖書をもう少し詳しく勉強したいと思われる方にはお薦めです。4

ただし、解説や注の内容はカトリックの教えに基づいているため、プロテスタントの教えと異なるところがありますのでご注意ください。

お薦めの聖書翻訳

さて、前節で紹介した代表的な日本語訳聖書の特徴を踏まえた上で、初めて聖書を買おうとする人に私がおススメするのは、

新共同訳聖書

です。しかも、できれば、最新版となる「聖書 聖書協会共同訳」(2018年12月初旬発売)をお薦めします。

ただし、

もう既に教会の礼拝などに出席されている人で、まだ自分の聖書を持っていなくて初めて聖書を買おうとする方は、通われている教会の神父・牧師のお薦めに従ってください

私が新共同訳聖書をお薦めする一番の理由は、カトリックも含めた日本の大部分のキリスト教会で広く使われているからです。

なお、聖書には書かれている文字の大きさに比例して「小型(A6判)」「中型(B5判)」「大型(A5判)」の聖書があります(ページ数は同じです)。

が、初めて聖書を買おうとする人は、小さい文字でも気にならないのであれば、「小型」で十分だと思います。理由は、値段が一番安くて軽いからです。

ちなみに、聖書の重さが気になる私にような方は、スマホのアプリでも聖書が読めますので、そちらを検討しても良いかもしれません。

あと、新共同訳聖書には「旧約聖書続編付き」と書かれたものと書かれていないものがあります。

「旧約聖書続編」というのは、カトリックでは正典(「第二正典」とも呼ばれる)として認められているもののプロテスタントでは正典とは認められていない(「外典」と呼ばれる)文書です。

「正典」というのは、それぞれの教会・教団に公認された信仰の基準となる文書で、「聖書」と呼ばれるものは通常、「正典」を指しています。

平たく言うと、

「旧約聖書続編」はカトリックの聖書には含まれているけど、プロテスタントの聖書には入っていない文書たち

ということになります。

ですので、まだあまりキリスト教のことを知らない方にとって、「旧約聖書続編」というのは正直、あってもなくてもそれほど問題にはならないと思います。が、カトリックとプロテスタントの違いに興味のある方は是非とも読んでみてください。

いずれにしても、実際に買う前に書店などで一度、見比べてください(値段と重さも)。

その上で、

新共同訳聖書はちょっと読みづらそうだな…

と感じられた方には「リビングバイブル」をお薦めします。

リビングバイブルも「ちょっと無理そうだな…」と思われる方には、漫画で描かれた聖書もありますので、そちらをお試しください。

以上、ご参考まで。

注釈

  1. 詳細は下記を参照。http://www.bible.or.jp/contents/know/pdf/ni_bible.pdf
  2. 日本聖書協会の「聖書カタログ2018-2019」によると「日本の8割の、教会およびキリスト教主義学校で用いられている」そうです。
  3. 詳細は下記を参照。https://www.seisho.or.jp/s2017/features/
  4. 詳細は下記を参照。https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%83%95%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%82%B7%E3%82%B9%E3%82%B3%E4%BC%9A%E8%A8%B3%E8%81%96%E6%9B%B8
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