「キリストによって繋がれ成長する体」:2023年8月11日(金・祝)礼拝説教要旨

礼拝説教の要旨です。

  • 日時:2023年8月11日(日)
  • 場所:シンガポール日本語キリスト教会のOBOG会@お茶の水クリスチャン・センター
  • 説教タイトル・テーマ:「キリストによって繋がれ成長する体」
  • 聖書個所:エフェソの信徒への手紙4章7-16節1
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導入

シンガポール日本語キリスト教会(SJCF)という教会は長い歴史を持つ教会で、1970年代にその礎となる集会が始まり今日まで続いていますが、これは本当に凄いことだと思います。

というのも、シンガポールの日本人の多くは短期滞在者で、5年もすれば礼拝参加者の顔ぶれがほとんど変わってしまうからです。

でも、そのように入れ替わりの激しいSJCFだからこそ、今日はこうして多くの皆様と共に賛美・礼拝できている訳です。

このSJCFのOBOG会を通して改めて、

イエス様を頭としたキリストの体としての教会の素晴らしさ

に気付かされるのは私だけではないと思います。今日の聖書個所を通して、今一度、

SJCFを通して顕されている神様の御業を確認し、主なる神様の偉大さを共に讃えたい

と思います。

聖霊による一致

今日の聖書個所(エフェソの信徒への手紙4章7-16節)はエフェソの信徒への手紙4章1節から話が続いています。

パウロは4章1-3節で「霊による一致」を保つように勧めています。

「霊による一致」というのは、

イエス様を救い主として信じ従う人たちが、彼らの内に宿る聖霊によって、キリストを頭とする一つの体、一つの教会となる

ことを意味します(参考:ローマの信徒への手紙8章9節;コリントの信徒への手紙一3章16節; 6章19節; 12章13節;エフェソの信徒への手紙1章22-23節; 2章18節)。

この「霊による一致」は既に与えられているものですが、その一致を保つために熱心に努める必要があるとパウロは語ります(エフェソの信徒への手紙4章3節)。

とはいえ、実際にその一致を保つためには、

キリストなるイエス様の働きが必要不可欠

です。それ故にパウロはエフェソの信徒への手紙4章7-16節において、

イエス様の働きによって、イエス様の体としての教会がどのようにして一致を保ちながら成長していくのか?

を記しています。

キリストによる恵み

パウロはまずエフェソの信徒への手紙4章7節で

私たちクリスチャン一人一人にはイエス様から恵みが与えられている

と記します。さらに11節では、

イエス様が使徒や預言者、福音宣教者(新改訳2017では「伝道者」)、牧者(新改訳2017では「牧師」)、教師といった人々を与えている

と記しています。パウロによると彼らは

クリスチャンたちを整えて奉仕の働きをさせ、キリストの体である教会を造り上げていきます(12節)。

なお、ここの「奉仕の働き」というのは

キリストの体である教会全体にイエス様から与えられている「務め(使命)」

を意味していると理解することができます。

というのも、ここで「奉仕」と訳されているギリシア語の言葉は他の個所では「務め」と訳されることもあり、神様に召された人々(聖なる者たち)が教会の内外を問わず成すように任された働きという意味合いをもっているからです(例:使徒言行録1章17節;ローマの信徒への手紙11章13節;コリントの信徒への手紙二3章8-9節; 5章18節;コロサイの信徒への手紙4章17節;テモテへの手紙一1章12節;テモテへの手紙4章5, 11節)。

キリストによる成長

キリストの体である教会がイエス様から与えられている「務め(使命)」を果たすとき、教会が造り上げられていく

とパウロは語ります(エフェソの信徒への手紙4章12節)。具体的にはエフェソの信徒への手紙4章13節にあるように、

教会全体が信仰と神の子イエス様の知識において一つとなり、イエス様のように霊的に成熟した教会が造り上げられていきます。

また、

教会は偽りの教えに惑わされることなく、愛をもって真理(福音)を語り、頭であるキリストのように成長していきます(14-15節)。

エフェソの信徒への手紙4章16節にはキリストの体である教会が成長し、造り上げられていくためには

イエス様の働きと教会内の個々人の働きのどちらも欠かせない

ことがはっきりと記されています。

教会全体がイエス様と共にその「務め(使命)」を果たしていくとき、愛の内に教会が造り上げられていきます。

結論

イエス様はクリスチャン一人一人に恵みを与え、教会全体に使徒や預言者、福音宣教者、牧者、教師といった人々をお与えになりました。

それは、彼らがクリスチャンたちを整え、キリストの体である教会がその「務め(使命)」を果たし、教会が造り上げられていくためでした。

その過程において教会全体は信仰とイエス様の知識において一つとなり、偽りの教えに惑わされることなく愛をもって聖書(神様)の真理である福音を語り、イエス様のように霊的に成熟した教会へと成長していきます。

聖霊によって一つの体とされた教会はイエス様によって繋ぎ合わされ、イエス様の恵みによって整えられ、イエス様と共に愛の内に成長していきます。

今日、この場にいらっしゃる方々は本当に様々な背景を持っていらっしゃると思います。

その信仰の歩みがどのようのものであれ、

イエス様は皆さん一人一人に恵みを与え、様々な人を通してあなたを整え、キリストを頭とするキリストの体としての教会を造り上げておられます。

あなたが今日、この場所にいるのは偶然ではありません。

あなたの人生に何が起きたとしても、神様からどれほど遠く離れてしまったと感じることがあったとしても、あなたが神様の家族の一員であり、キリストの体の一部であるという事実は変わりません。

聖霊によって一つの体とされた教会はイエス様によって繋ぎ合わされ、イエス様の恵みによって整えられ、イエス様と共に愛の内に成長していきます。

今日、ここにいらしているあなたの存在そのものが、その神様・イエス様の御業を証しています。

今、皆さんの周りを見渡してみてください。

今日この場所には教団教派関係なくイエス様を救い主として信じる信仰のみで繋ぎ合わされている、神の家族が集っています。

私たちは

SJCFを通して、神様・イエス様がキリストの体としての教会を造り上げておられる様子を目の当たりにしている

訳です。

とは言われても、

自分自身はそんなに大したことはしていない気がする。そもそも「整えられている」感じもないし、教会全体にイエス様が与えられた「務め(使命)」を果たせているとも思えない

とおっしゃる方がいらっしゃるかもしれません。

でも、ここで覚えていただきたいことは、私たちクリスチャンが整えられ、教会全体がその「務め(使命)」を果すことで成長していくというのは他ならぬ神様の御心だということ。

そして、

神様の御心は私たち人間の思いや考えをはるかに超えたところで確実に実現していく

ということです(参考:イザヤ書55章8-11節)。

繰り返しますが、

今日、ここにいらしているあなたの存在そのものが、キリストの体としての教会が確かに造り上げられていることの証し

です。この

絶対的主権をもった神様に信頼し、今置かれている場所で、あなたにしかできないこと、あなたに任せられていることに忠実に歩んでみてください。
あなたは独りではありません。

いついかなるときもイエス様が共にいて、あなたを守り導き、あなたを含む体全体を繋ぎ合わせ、愛の内に成長させてくださっています。

この

キリストの体である教会によって、また教会の頭であるイエス様によって、栄光が世々限りなく私たちの父なる神様にありますように(エフェソの信徒への手紙3章20節)。

参考文献および注釈

  • Roberts, Mark D. Ephesians. The Story of God Bible Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan Academic, 2016.
  • Snodgrass, Klyne. The NIV Application Commentary: Ephesians. Grand Rapids, Mich: Zondervan, 1996.
  • Thielman, Frank. Ephesians. Baker Exegetical Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Baker Academic, 2010.
  1. 特に記載がない限り、聖書の引用は日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』による。
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