「主の恵みと慈しみ」:2021年11月21日(日)礼拝説教要旨

礼拝説教の要旨です。

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導入

Tokyo Multicultural Church (みんなのためのキリスト教会)では毎年11月に感謝祭礼拝を行っています。

個人的には、神様の前に静まって神様から与えられている恵み・祝福に感謝をささげる日を設けるというのはとても大事なことだと思います。

と言われても、現在のコロナ禍にあって、神様から直接的な恵み・祝福を感じることは少ないかもしれません。

でも、

そんな不安定な状況にある時こそ、決して変わることのない神様、そしてその揺るぎない真理を思い起こす

ことは非常に大切だと思います。

今日の聖書個所は、恐らく誰もが一度は聞いたことがあるであろう、とても有名な聖句です。この詩編23編を通して今一度、

聖書の神様がどういうお方であるか、私たちに何を成してくださったか

を思い起こしていきましょう。

主は私の羊飼い

詩編23編はイスラエル王国の二代目の王ダビデが書いたとされています。

そのダビデがいつこの詩を書いたのかははっきり分かりません。けれども、

喜びに満ち溢れたときではなく悩み苦しんでいる最中にあって、ダビデは神様を信頼し、神様に感謝と賛美をささげるためにこの詩を書いた

と思われます(参照:詩編23編4, 5節)。

その詩の初めにダビデは神様を「私の羊飼い」だと言っています。

「羊飼い」というのは羊を養い導き守る存在です。

神様は御自分の民を養い導き守る「羊飼い」(詩編78編52-53節)であると同時に、私たち一人一人にとって非常に近しい、私個人の「羊飼い」でもある

ことをダビデは教えてくれています。

イエス様は弟子たちのことを「友」と呼ばれました(参照:ヨハネによる福音書15章12-15節)。

弟子たちがイエス様の「友」と呼ばれたのは、父なる神様からイエス様が聞いたことを全て彼らに知らせたからだとヨハネによる福音書15章15節に記されています。

ただ盲目的に神様の命令に従うのは「僕」です。

しかし、「友」にはその命令の背後にある理由や目的、計画を伝えます。

命令を実行するのに必要な動機付けを与えます。

僕には神様の思いや考えを知ることが許されていませんが、友には神様の思いや考えが伝えられます。
イエス様は当時の弟子たちだけでなく現代に生きる私たちもまた「友」と呼んでくださいます。

私たちの場合は聖書を通して神様の思いや考えを知ることができます。

聖書内に記される命令・勧めの背後にある理由や目的を知ることができます。

命令・勧めを実行するのに必要な動機を得ることができます。

また、神の霊である聖霊を通して私たちには神様の望まれる生き方を生きるための力が与えられます

ですから、

イエス様を救い主と信じ、神様の望む生き方を歩もうとするあなたもまた神様・イエス様の友

なのです。

私は乏しいことがない

羊にとって水と食料が必要なように、

神様は私たちに必要なものを十分に与えてくださる

存在です(詩編23編2-3節;比較:マタイによる福音書6章25-34節)。

必要なものというのは衣食住といった物質的なものだけではありません。

神様は私たちの魂に必要なものも与えてくださいます。

この世には様々なしがらみやプレッシャー、ストレスが存在します。そのような

「重荷」を背負って疲れている人は私のもとにきて、私の軛を負って、私に学びなさい。そうすれば、魂に安らぎを得る。私の軛は負いやすく荷は軽いから

とイエス様はおっしゃいます(マタイによる福音書11章28-30節)。

イエス様の軛とは、私たち人間が本来負うべき軛、神様と人間との本来あるべき関係が回復された状態

を意味していると言えます。

私たちが神様との本来あるべき関係を回復することができるのは、私たちの行いによるのではなく、イエス様を救い主と信じる信仰によります。

行いではなく信仰によって神様との本来あるべき関係を回復されるとき、私たちの魂は生き返らされ、安らぎを得る

ことができます。そうして私たちは

御言葉や聖霊の助けによって本来歩むべき道、「正しい道」(詩編23編3節)へと導かれていきます。

私たちは

私たち人間の本来あるべき姿である「イエス様の似姿」に向けて、イエス様と共にイエス様に学びながら聖霊によって造り変えられていく

のです。

私は災いを恐れない

私たちの羊飼いである神様は、私たち人間が生きるために必要なもの全てを与えてくださるだけではありません。

神様はこの世の様々な苦しみや災いから私たちを守ってもくださる

お方です(詩編23編4-5節)。

残念ながら、イエス様を救い主と信じてクリスチャンになれば、この世の苦しみや悲しみを経験しなくなる訳ではありません。

むしろ、

神様の望む生き方を歩もうとするおかげで、これまで以上の苦しみや悲しみを経験する

こともあり得ます(参考:ヨハネによる福音書15章18-20節)。

しかし、たとえどれほど耐え難い苦しみや悲しみ、痛みを経験することがあっても、

それは神様があなたを見捨てからではありません。

神様があなたを嫌っているからではありません。

あなたがどこにいて何をしているとしても、父なる神から一切の権能を授かった子なる神イエス様はいつもあなたと共にいて、あなたを守り導いていてくださっている

のです(参考:マタイによる福音書28章18-20節)。

主の恵みと慈しみが私を追う

この世で生きる限り苦しみや災いが完全になくなることはありません。

でも、神様はいついかなるときも私たちと共におられ、私たちを守り導いてくださいます。

私たちを宴席に招き、親しく語り掛け、私たちの魂に安らぎを与えてくださいます。

溢れんばかりの祝福で私たちを満たしてくださいます。

こうした

恵みと慈しみが私たちを追ってくる

とダビデは詩編23編6節で謳います。

私たちの人生においてもダビデと同じく様々な苦しみや悲しみ、痛みを経験するときがあります。

そんなとき私たちは神様の愛や主権を疑いたくなってしまいます。

神様のことを信じ切れなくなってしまいます。

教会から足が遠のいてしまうことがあります。

クリスチャンの友人との交わりから離れてしまうことがあります。

でも、

たとえあなたがどこに行ったとしても、何を思ったとしても、神様の恵みと慈しみがあなたから離れることはありません。
イエス様は99匹の羊を残しでも、迷い出た一匹の羊を追い求めるお方

です(ルカによる福音書15章3-7節)。

結論

天地万物の造り主である神様は私たちを僕ではなく「友」と呼び、非常に近しい関係を築くことを望んでおられます。

神様のそんな思いや考えを伝えるため、神の言葉である聖書を神様は私たちに与えてくださいました。

また、自らが人の姿をとってこの世に来られ、私たちの罪をその身に背負い、十字架で死んでよみがえられました

そのおかげで、

私たちは行いではなく信仰によって、神様との本来あるべき関係を回復することができる

ようになりました。

魂が生き返り、魂に安らぎを得られるようになりました。

加えて、

神の霊である聖霊が信じる者のうちに宿り、私たちを本来あるべき姿である「イエス様に似た者」へと造り変えてくださっています。

私たちが神様から見て「正しい道」を歩むことができるように守り導いていてくださっています。

さらには、

父なる神様から一切の権能を授けられた子なるイエス様はいついかなるときも私たちと共にいて、私たちを苦しみや災いから守ってくださっています。

これら全ての祝福は私たちが何かをしたから与えられる「報酬」ではありません。全てが

神様の恵みと慈しみによる

ものです。私たちにできることはまず、その

神様の恵みと慈しみを覚え神様に感謝と賛美をささげる

ことです。そして、

どんなときでも主にある感謝と喜びに満たされながら、聖霊の助けにすがりつつ、神様の望まれる生き方を歩み続ける

ことです。

ここ最近は新型コロナのニュースばかりで自然と気分が落ち込みがちな毎日になってしまっていると思います。

まともに予定すら立てることのできない状況で、不安やストレスも溜まりやすくなってしまいます。

無いものばかりに目が行きがちになってしまいます。

でも、そんなときこそ、

決して変わることのない真理に目を向けてください。
神様からもう既に与えられている恵みと慈しみを思い起こしてください。
いついかなるときも、あなたがどこにいて何をするにしても、神様の恵みと慈しみがあなたを離れることはありません。
一切の権能をもったイエス様が絶えずあなたと共にいて、あなたを守り導いていてくださっています。
神様の愛からあなたを引き離すものは何もない

のです(ローマの信徒への手紙8章35-39節)。

全ての栄光が神様にありますように。

参考文献および注釈

  • Craigie, Peter C, and Marvin E. Tate. Psalms 1-50. Revised edition. The Word Biblical Commentary. Dallas, Tex.: Thomas Nelson Publishers, 2004.
  • Longman, Tremper III. Psalms: An Introduction and Commentary. Tyndale Old Testament Commentaries. Downers Grove, Ill.: IVP Academic, 2014.
  • Ross, Allen. A Commentary on the Psalms: 1-41. Kregel Exegetical Library. Grand Rapids, Mich.: Kregel Academic & Professional, 2012.
  • VanGemeren, Willem A. Psalms. Revised edition. Vol. V. The Expositor’s Bible commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 2008.
  • Wilson, Gerald H. Psalms. Volume I. The NIV Application commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 2002.
  1. 特に記載がない限り、聖書の引用は日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』による。
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