礼拝説教の要旨です。
- 日時:2024年9月22日(日)
- 場所:さいたま国際キリスト教会
- 説教タイトル・テーマ:「主の戦い」
- 聖書個所:サムエル記上17章41-54節1
導入
今日の聖書個所を含むサムエル記上17章の話はいわゆる「ダビデとゴリアト(ゴリアテ)」と呼ばれる話です。
聖書の中で一、二を争うほど有名な個所ですので、ひょっとしたら、私(説教者)が語ろうとする話(説教)の内容も大体、想像できるという方がいらっしゃるかもしれません。
そういう方の多くは恐らく、「ゴリアト」を私たちの「人生の中の問題・課題や苦難・困難」と捉え、
といった類の説教をイメージしていらっしゃるのではないかと思います。
そのようなメッセージは決して間違いとは言えません。
しかし、それは、
のではないかと個人的には考えています。
今日は
について、共に考えていきたいと思います。
「メシア」のあるべき姿
「ダビデとゴリアト」の戦いはイスラエル民族とペリシテ人との戦いの最中に置きました(サムエル記上17章1-3節)。
このときのイスラエル民族の王はサウルでしたが、
と預言を受けていました(サムエル記上15章28節)。この
でした(16章12節)。
サウルもまたサムエルから油注がれていましたので(10章1節)、今日の聖書個所に記される出来事が起きたとき、
ことになります(サムエル記上12章3節; 16章6節)。
ただ、
対して、
このことはサムエル記上17章全体を通しても示されています(比較:サムエル記上17章11, 32節;比較: 17章36-37節, 38-40節)。
サムエル記の作者はサムエル記上17章全体を通してサウルとダビデの言動を対比させることで、
と言えます。
人が見るように見ない神
次に、サムエル記の作者がサムエル記上17章全体を通して何を伝えようとしているかを考えるため、
を考えます。
そのヒントは、17章の一つ前の16章に記されています。
実際、サムエル記上16章7節に
であると記されています。
誰もがゴリアトの大きな体格と立派な武具を見て、恐れおののいていました(17章4-7, 11節)。
サウルはゴリアトのように立派な武具を身につければ、もしかしたらダビデも戦いに勝てるかもしれないと思い、ダビデにサウル自身の武具を身に付けさせようとしました(17章38-39節)。
しかし、
とダビデはゴリアトに宣言します(17章47節)。
実際、ダビデにとって、勝利のために必要だったのは
でした(17:45-46, 50-52)。
です。
結論
サムエル記上17章には二人の「メシア」、即ち、「油注がれた者」が出て来ていました。
一人はサウル、もう一人はダビデです。
Ⅰサムエル17章では、この二人の「メシア」の言動が対比させられながら、
が強調されています。
サウルは神様から離れていましたが、
サウルは苦難・困難を目の前にして、神様ではなく自分の力に頼ろうとしました。
対して、
と固く信じていました。
また、サムエル記上17章全体を通して
ことがはっきりと示されていました。
その場にいた人は、ダビデを除けば恐らく誰一人として、ダビデがゴリアトに勝つとは思っていなかったでしょう。
しかし、
です。この神様の絶対的な主権と力がダビデのゴリアトに対する勝利にはっきりと描かれています。
ここで問題となるのは
です。ダビデが信じていたことは、
ということ。そして、その
ということでした。
神様・イエス様を信じていれば、どんな戦いにも勝利できるということをダビデが信じていた訳ではありません。
あくまでも
という訳です。
神様の御名を汚す者との戦いというのは、例えば、神様・イエス様を信じる信仰が故に受ける様々な苦難や困難と言えるでしょう。
また、神様・イエス様の御心に適うことをしようとするときに受ける誹謗中傷とも言えるかもしれません。
そのような
とイエス様はマタイによる福音書5章11-12節でおっしゃっています。
イエス様を信じ、神様の御心に適った生き方をしようとする人生は必ずしも順風満帆でバラ色の人生ではありません。
むしろ、イエス様を信じ、神様の望まれるように生きようとするとき、この世の人々から煙たがられたり、非難されたり、排斥されたりすることがあります。
でも、たとえそうだとしても、そのような
とイエス様は約束してくださっています。
その意味において、確かに、
ただ問題は、
ということです。
そのため、実際の現実社会において様々な苦難・困難、問題・課題に直面するとき、その状況からの救いがなかなか与えられずに滅入ってしまうことが少なからずあると思います。
けれども、
です。その
それでも心くじけそうになるときには
十字架というのは当時の社会においては「敗北」の象徴でした。
しかし、
です。
この
その戦いはあなたの戦いではなく、主の戦いです。
そして、
参考文献および注釈
- Arnold, Bill T. 1 & 2 Samuel. First Edition. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 2003.
- Firth, David G. 1 & 2 Samuel. Apollos Old Testament Commentary. Nottingham, England : Downers Grove: IVP Academic, 2009.David G. Firth, IVP Academic (2009/10/30)