「変わらない神の計画」:2021年6月6日(日)礼拝説教要旨

礼拝説教の要旨です。

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導入

新型コロナウイルスの感染例が世界で初めて確認されてから1年半ほどが過ぎた今でも、状況はなかなか改善されていません。

「コロナ慣れ」または「自粛慣れ」という言葉さえ出てきています。

誰もが

こんな状況でも、本当に神様に信頼していれば大丈夫なのか?
本当に全ては神様の計画の中にあるのか?
本当に万事が共に働いて益となるのか?

といった疑問を抱くのではないでしょうか。神様のことばは本当に信頼できるのか。聖書の約束は本当に実現するのか。

私たちの信仰の核心が揺るがされかねない状況

にあると言っても過言ではありません。今日の聖書個所は、

神様のことばは確かに信頼に足るもの

であること、

神様の計画・約束はどんなことがあっても必ず実現する

ということを思い起こさせてくれる内容となっています。

信じないイスラエル民族

現代の私たち同じく、2000年前のローマに生きたクリスチャンたちにとっても、神様のことばの確かさを疑いたくなるような現象が起きていました。それは、

イエス様を信じて救われるユダヤ人たちが少ない

という現象です(ローマの信徒への手紙9章1-5節;10章1-3節)。

ローマの信徒への手紙が書かれた当時のローマの状況は詳しく分かりませんが、ローマにもユダヤ人のコミュニティはありました。

しかしながら、当時のローマの教会の多数派は異邦人で占められていたようです(参考:使徒言行録28章17-28節;ローマの信徒への手紙2章17-29節;11章13-32節)。

信頼できる神の言葉

でも、一体なぜなのでしょうか?

イスラエル民族は神様から数えきれないほどの祝福を受けていました。

にもかかわらず、

なぜイスラエル民族の多くはイエス様を信じ救われるという最高の祝福を受けることができなかったのでしょうか(比較:ローマの信徒への手紙9章1-5節)

彼らを通して実現されるはずの神様の約束・計画はキャンセルされてしまったのでしょうか(参考:創世記 22章17節)。

神様は御自分の約束・計画を成し遂げることができない不完全な存在なのでしょうか?
たとえ神の民イスラエル民族の多くがイエス様を信じないような状況にあったとしても、神様の言葉・約束・計画が無効になった訳ではない

とパウロは語ります(ローマの信徒への手紙9章6節)。その理由は、

アブラハムと血の繋がった人々が皆、神様との約束によって神様の子供とされた訳ではない

からです(6-8節)。それは裏を返せば、

そもそものところ、神様はイスラエル民族が皆、イエス様を信じて神様の子供とされることを保証も約束もしていない

ということです。それだから、たとえイスラエル民族の多くがイエス様を信じないとしても、神様の約束・計画がキャンセルされた訳ではないということになります。

人の行いによらない神の計画

アブラハムと血が繋がってさえいれば自動的に神様の子供とされる訳ではないことを示すため、パウロは二つの例を挙げています(ローマの信徒への手紙9章7-13節)。

一つ目はイサクとイシュマエルのケースです(7-9節)。

イサクとイシュマエルの母親は異なりましたが、実の父親はどちらもアブラハムです。

しかし、

神様とアブラハムとの約束はイシュマエルではなくイサクに対してのみ受け継がれました(参考:創世記26章3-4節)。

二つ目の例としてパウロはヤコブとエサウのケースを挙げています(ローマの信徒への手紙9章10-13節)。

イサクとイシュマエルの場合は、父親は同じでも母親が異なりました。けれども、ヤコブとエサウの場合は同じ両親です。

しかも、ヤコブとエサウは双子ですから、生まれた日も同じです。

にもかかわらず、

神様は二人が生まれる前から、善いことも悪いことも何もしていない前から、弟ヤコブをお選びになった

と聖書は語ります(創世記25章23節)。それは、

神様の御計画が人間の行いによってではなく、神様御自身によって進められる

からだとパウロは語ります(ローマの信徒への手紙9章11-12節)。

神様は人の行いに関係なく(人が行う善も悪も全て用いて)御自分の計画を成していかれる

お方です。

結論

神様は今も昔も、そしてこれからも決して変わることがない

お方です(参考:ヘブライ人への手紙13章8節)。

神様の言葉・約束・計画が人間の行いによって左右されることはありません。時が来れば必ず実現します。

私たち人間がたくさん善いことをすれば、神様の計画がより早く実現される訳でもありません。

私たち人間がたくさん悪いことをすれば、神様の計画が台無しになる訳でもありません。

神様は私たち人間の行う善いこと・悪いこと全てを用いて、神様が定めた時に、神様の方法で、神様の御計画を実現される

お方です。永遠の初めから立てられた神様の計画は決して変わりません

もし神様の言葉・約束・計画が変わっているように感じることがあるとすれば、それはもしかしたら、

私たち人間が神様の言葉・約束・計画を正しく理解していない

からかもしれません。

神様は確かにアブラハムを恵みによって選び、彼を祝福し、彼と彼の子孫を通して全ての人を祝福すると約束されました。

そして実際に、アブラハムの子孫は神様から様々な祝福を受けました。

でも、だからといって、

アブラハムの子孫が皆もれなく同じ祝福を受けた訳ではありませんでした。

イシュマエルではなくイサクが選ばれ、エサウではなくヤコブが選ばれました。

けれども、

神様はそもそものところ、アブラハムの子孫が皆もれなく同じ祝福を受けるとは約束していませんでした。

救いに関しても同じことが言えます。

神様はアブラハムの子孫が皆もれなくイエス様を信じて救われるとは約束しておられませんでした。

ですから、たとえイスラエル民族の多くがイエス様を信じて救われないという現実があったとしても、それは神様の言葉・計画・約束が変わったことを意味していません。

むしろ、

イスラエル民族の多くが信じなかったことさえも神様にとっては計画の範囲内の出来事

でした(参考:ローマの信徒への手紙11章以降)。

神様は今現在も、この世のあらゆるものを用いて確実かつ着実に御自分の計画を成し遂げておられます。

たとえ何が起きたとしても、神様の計画は決して変わりません

何が起きても神様の計画は変わらないという真理が最もよく表されているのがイエス様の十字架と復活です。

神の御子イエス・キリストが無実の罪で十字架刑に処されるという出来事は、普通に考えると決してありえない・あってはならない出来事です。

けれども、

神様の救いの計画が実現されるためには、神の独り子が私たちの罪の身代わりとして十字架にかかる必要があった

のです。しかも、死んで終わりではなく、イエス様は死んで三日目に栄光の体をもってよみがえられました。

死者からの復活という出来事も十字架と同様、普通に考えると決してありえない・あってはならない出来事です。しかしながら、この

イエス様の十字架と復活という人知を超えた出来事を通して、私たち人間が罪と死の支配から完全に解放される救いの道が開かれた

のです(参考:ローマの信徒への手紙5章17-21節;6章12-14節;コリントの信徒への手紙一15章17-26節)。

神様の思いや考えは私たち人間の思いや考えをはるかに超えています。

たとえ何が起きたとしても、神様の計画は決して変わりません

先がなかなか見えない状況が続いています。

「自粛」「自粛」と言われ続け、気分的にも落ち込みがちな毎日が続いています。

このような状況が長らく続くと誰もが神様の働きに疑問を抱きたくなります。

そんな中で神様に対する信仰・信頼さえも消え去りそうになってしまうかもしれません。

でも、そんなときにこそ

イエス様の十字架と復活を思い起こしてください。
イエス様の十字架と復活には、私たち人間の想像もつかない方法で計画を実現されていかれる神様の絶対的な主権が表されています。

たとえ何が起きたとしても、神様の計画は決して変わりません

と言われても、です。

頭では理解しているつもりでも、実際には神様の計画が本当に実現しているのかと不安に思うことがあるかもしれません。

でも不安に感じるのは、ひょっとしたら、

自分の願う・思うように物事が進んでいないから

かもしれません。もしそうだとしたら、

神様の思いや考えは私たちの思いや考えをはるかに超えている

ことを思い出してください。

自分の思い・考え通りに物事が進んでいないからといって、神様の計画が進んでいない訳ではありません。

神様に対する信仰・信頼が揺るがされそうなときこそ、その

信仰・信頼の土台であるイエス様の十字架と復活の御業を思い起こしてください。

そこに表されている

神様の絶対的な主権を覚え、神様への信仰・信頼が新たにされますように。
いついかなるときも共にいてくださるイエス様と一緒に目の前の困難な状況を乗り越えることができますように。

参考文献および注釈

  • Moo, Douglas J. Romans. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: ZondervanPublishingHouse, 2000.
  • ———. The Epistle to the Romans. The New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Eerdmans, 1996.
  • Schreiner, Thomas R. Romans. 2nd edition. Grand Rapids, Mich.: Baker Academic, 2018.
  1. 特に記載がない限り、聖書の引用は日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』による。
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