礼拝説教の要旨です。
- 日時:2018年11月18日(日)
- 場所:さいたま市内の教会での日曜礼拝
- 説教タイトル・テーマ:「感謝をもってささげる祈り」
- 聖書個所:ピリピ人への手紙4章6-7節
6何も思い煩わないで、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。
7そうすれば、すべての理解を超えた神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守ってくれます。出典:新日本聖書刊行会『聖書 新改訳2017』(いのちのことば社、2017年)〈新〉399頁1
導入
程度の差はあれ、誰しも色々なことに頭を悩まされることがあると思います。しかし、
幾つかの理由が考えられますが、大抵の場合、
と思います。
私たちは未来を完全には知り得ないこと、また私たちにはどうしようもならないことが数多く存在することは、時代や場所を問わず、誰に対しても当てはまること。2000年前のピリピの教会も例外ではありませんでした。
事実、当時のピリピの教会は何らかの迫害を受けていたようですので(参考:ピリピ人への手紙1章28-30節)、彼らは迫害者に対して恐れを抱いていたに違いありません。迫害者が自分たちに何をするか分かりませんし、彼らの企てを止めることもできなかったからです。
そんな彼らに向けられたのがピリピ人への手紙4章6-7節のパウロの言葉。今日はこの箇所から、恐れや思い煩いを感じたときにどうすれば良いかを学んでいきましょう。
祈りはまず最初に
私たちが何かに思い悩む時もしくは悩み始める前の「あらゆる場合に」「感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神に知っていただきなさい。」(6節)とパウロは語っています。
私たちを悩ましている問題の解決はもちろん、あらゆることに対して、私たちが神様にして欲しいと願うことを神様に祈り求めなさいという訳です。これは非常に大事なこと。というのも、
だからです。
ここで大事なことは、
ということ。何よりもまず最初に神様に祈ることが大切です。
神様に祈った後で初めて、自分のもつ知識や経験やスキルを活かしながら、祈りながら、直面する問題に対処する必要があります。
祈りは最優先で
全てが順調にいっている時には、祈ったり、聖書を読んだり、礼拝するといった神様との時間を持つ余裕があります。しかし、何か問題が発生すると、その問題を解決するのに忙しくなって、問題解決のために時間を取られるようになります。
そんなとき、神様との時間が真っ先になくなっていくのではないでしょうか。それは裏を返せば、神様よりも自分自身に頼っていると言えなくもありません。
しかし、パウロは言っています。「あらゆる場合に」、問題に直面しようとしまいと、良いときであれ悪いときであれ、あらゆる場合に、感謝をもってささげる祈りと願いによって、あなたがたの願い事を神様に知ってもらうようにと。
神様との時間が最優先です。何よりもまず神様に頼る必要があります。
祈りは感謝をもって
ここでのキーワードは「感謝をもって」祈るということ。
ですから、問題の大小にかかわらず、感謝をもって神様に祈るとき、問題ではなく神様に目を向けることができます。
また、物事が順調であろうとあるまいと
神様に感謝を捧げることによって、神様をより一層信頼し、それまで以上に神様に寄り頼むようになると言えるでしょう。
それはつまり、状況に関係なく「あらゆる場合に」、自然と神様に祈れるようになることにつながります。
祈りは神の平安をもたらす
では、感謝をもって、良いときであれ悪いときであれ、あらゆる場合に神様に祈る時、一体何が起こるのでしょうか?
「すべての理解を超えた神の平安が、あなたがたの心と思いをキリスト・イエスにあって守って」くれると聖書は語ります(7節)。
ここで「神の平安」というのは「神様の本質を特徴づける心穏やかな平静さ」を意味します。言うなれば、
です。
ここで注意すべきことがあります。それは、
ということ。平安がもたらされるのは、祈るという行為によってではありませんし、祈り(願い)が答えられるという確信によってでもありません。
祈りにおける態度によって、神様の平安がもたらされるのです。
もう一つ大事なことは、パウロにとって「平安・平和」という言葉は、神様もしくは他の人との関係における「平安・平和」という意味合いが強いということ。つまり、
と言えます(参照:2章2節)。
結論
物事が順調にいっていようがいまいが、大きな問題に直面していようがいまいが、あらゆる場合に感謝をもって祈ることが大事です。
キーワードは「感謝をもって」です。
私たちが神様に感謝できることを探すとき、私たちの思いは神様に向けられます。私たちが神様に感謝するとき、私たちは自らの限界を認め神様により頼むようになります。そして自然と神様の前にへりくだり、神様に信頼できるようになります。
また、私たちが神様の御前にへりくだって信頼をもって祈り求めるとき、神様の平安が恐れと不安から私たちの心と思いを守り、キリストにあって教会全体に一致がもたらされます。
あなたが神様に祈るとき、ただ願い事をするだけでなく神様に感謝も捧げているでしょうか。
「ここしばらくの間、神様の祝福なんか感じたことがないし、忙し過ぎて神様に祈ることもできていない」とおっしゃる方がいるかもしれません。そういう方は今、しばらくの間、神様の救いの恵みを思い起こす時間を取ってみると良いかもしれません。
神様があなたを罪の滅びから救うためにどれほどの犠牲を払ってくださったかを思い起こしてみてください。神様は御自分の独り子であるイエス様をお与えになるほどにあなたを愛していらっしゃいます。
それはあなたが何か素晴らしいことをしたからではありません。神様のために何かを成し遂げたからでもありません。神様はありのままのあなたを愛してくださっているのです。神様の目にあなたは高価で尊い存在なのです。
それほどまでにあなたを愛してくださっている神様が、祈りの中であなたと対話したいと願っていらっしゃいます。自分のことをもっと知ってほしい、天の父なる神として、あなたとの絆をもっと深めたいと願っていらっしゃいます。
中には「今の状況がひどすぎて、神様に感謝できる事なんか何もない!」とおっしゃる方がいるかもしれません。そのような状況にある方は覚えていてください。どんな状況であれ、「平和の神様」はいつもあなたと共にいてくださいます。神様はどんなことがあっても決してあなたを見放したり、見捨てることはありません。
むしろ、神様はあなたに祈ってほしいと、あなたの重荷をともに分かち合って欲しいと願っていらっしゃいます。どのような状況であれ、祈りのうちにイエス様のもとに行き、イエス様と共に歩みながらイエス様から学びましょう。そうすれば、たましいに安らぎを得ることができます(参照:マタイの福音書11章28-30節)。
参考文献および注釈
- Fee, Gordon D. Paul’s Letter to the Philippians. Eighth Impression edition. New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Wm. B. Eerdmans Publishing Co., 1995.
- O’Brien, Peter T. The Epistle to the Philippians. Sixth Impression edition. New International Greek Testament Commentary. Grand Rapids, Mich.: Wm. B. Eerdmans Publishing Co., 1991.
- Thielman, Frank S. Philippians: The NIV Application Commentary. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 1995.