「生ける希望」:2020年12月27日(日)礼拝説教要旨


礼拝説教の要旨です(実際の説教の音声はこちらから)。

スポンサーリンク
レクタングル(大)広告

導入

今日は2020年最後の日曜礼拝です。2020年を振り返ると間違いなく、皆の記憶と歴史に残る一年だと言えます。新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たち人類の生活を一変させました。

2021年はどのような一年になるのか…

誰もが不安と恐れの中で生活を続けています。

このように何が起こるか分からない不安定な世の中にあって心の拠り所となるのはやはり何があっても決して変わることのない聖書の真理です。今日は聖書の語る真理の中の真理ともいえる「救い」について共に再確認していきます。

新しい人生

今日の聖書個所となるペトロの手紙一は、イエス様の弟子の一人ペトロが書いた手紙で、宛先は現在のトルコの各地に散らばっていたクリスチャンたちです(ペトロの手紙一1章1節)。

彼らはイエス様を信じる信仰のために各地で迫害を受けていたようです(1章6節; 2章13-17節; 3章13-17節; 4章4、12-19節; 5章8-9節)。

そんな彼らに対して、

神様の救いの恵みのうちに踏みとどまるよう励ます

ために書かれたのがこの手紙です(5章12節)。今日の個所はその中でも特に、イエス様を信じる信仰がもたらす救いがどのようなものかを説明しています。

ペトロは1章3節において、

神様は憐みによって、イエス様の復活を通して、クリスチャンを新たに生まれさせ、生ける希望を与えてくださった

と言っています。ここで「新たに生まれさせられた」とは神様に対する私たちの立場・身分が新たにされることを意味しています(参考:ヨハネによる福音書1章13節; 3章3-8節)。

具体的には、

イエス様を滅びから救ってくださる救い主と信じ従おうとする信仰によって、途絶えていた神様との絆が回復し、神様の子供とされる

ことを指します(参照:ヨハネによる福音書1章12-13節)。このとき、

私たちの考え方・生き方も新たにされます。

というのも、私たちがイエス様を信じ従おうとすることの中には、それまでの自分中心な古い生き方から神様を中心とした新しい生き方(神様が望む生き方)をしようと決心することが含まれているからです。

それまでの自分を中心とした考え方・生き方から神様を中心とした考え方・生き方に則って、神様の子供として新しい人生を生きる

ようになる(比較:ペトロの手紙一1章22-23節; 4章2-4節;ヨハネの手紙一3章9節;コリントの信徒への手紙第二5章17節)。それがペトロの「新たに生まれさせられた」という言葉に込められた意味です。

生ける希望

イエス様を滅びから救ってくださる救い主と信じ従おうとする者に対して、神様は「生ける希望」を与えてくださる

ともペトロはペトロの手紙一1章3節で記しています。ここでペトロの語る「生ける」希望というのは、十字架に架かって死んで終わりではなく、死者の中から復活して今も生きておられるイエス様に根差した「生ける希望」。即ち、

世の終わりにイエス様を信じる人たちに与えられる朽ちることのない復活の身体(参考:コリントの信徒への手紙一15章51-55節)に対する希望

そして、

死にさえも打ち勝つことのできる絶対的な神様の力(参考:エフェソの信徒への手紙1章19-20節)に対する希望

です。

世の終わりというのは、イエス様が再びこの世に来られて、全てを正しく裁かれる(最後の審判)ときです。そのとき、

イエス様を信じる者はイエス様が復活されたときにもっていた栄光の体をもって復活し、新しい天地で神様と共に生きる

と聖書は約束しています(参考:フィリピの信徒への手紙3章20-21節;ヨハネの黙示録21章1-4節)。そこには

死も悲しみも嘆きも痛みもありません。

聖書の語る最終的な救いが実現された状態です。

その保証・確証として、神様は御子イエス様を死の中から復活させられました。そして

神様は、死にさえも打ち勝つことのできる絶対的な力をもって、イエス様を信じ従おうとする者たちが最終的な救いを受けることができるように守ってくださる

のです(ペトロの手紙一1章5節)。

この世で私たちは様々な試練に遭遇します。

当時のクリスチャンたちも例外ではありませんでした(6節)。彼らはむしろ、今の時代に生きる私たちよりもはるかに厳しい迫害に遭いました。

彼らの中にはイエス様を信じる信仰を捨てて、それまでの生活に戻ろうかと真剣に悩み苦しんだ人が多くいたと思います。そうした

イエス様を信じる信仰が揺るがされるような様々な試練から、神様は私たちを守ってくださる

のです(比較:コリントの信徒への手紙一10章13節)。

そして、

そのような試練を通してより確固なものとされた信仰は黄金よりもはるかに尊く、イエス様が再びこの世に来られる時には私たちに称賛と栄光と誉れをもたらす

とペトロは記しています(ペトロの手紙一1章7節)。

結論

憐み深い神様は一方的な恵みによって私たち人間を救ってくださる

お方です。

私たちは皆、自分たちが犯した罪によって滅ぼされる定めにありました。

しかし、神様の独り子イエス様が私たちの受けるべきであった罪の罰(滅び)を身代わりに受けてくださったのです。その

イエス様を私たちの救い主と信じ、神様・イエス様の思いや考えを最優先にして生きていこうと決心するとき、神様との関係が回復し、私たちは神様の子供とされます。
自分中心ではなく神様を中心とした神様の子供としての新しい人生が始まる

のです。

神様の子供として新しい人生を歩む私たちには、どんなに暗い世の中にあったとしても決して無くなることのない「生ける希望」が与えられています。それは、

世の終わりにあって、朽ちることのない復活の身体を与えられるという希望
死も悲しみも嘆きも痛みもない新天新地で神様と共に生きるようになるという希望

そして、

その最終的な救いを受けるため、この辛く悲しく厳しい世の中にあって、私たちの信仰がなくならないように神様御自身が守ってくださるという希望

です。その生ける希望の根拠となるのがイエス様の復活であり、死にすら打ち勝つことのできる神様の絶対的な力です。

今の世の中は不安と恐れに満ちています。

新型コロナの感染拡大がいつ収束するのか、明確な回答を持っている人は誰一人いません。

このような状況にあって、誰もが

神様はなぜ新型コロナが流行するのを止めなかったんだろうか
多くの被害者が出ても神様は何も思わないのだろうか
神様は本当に全知全能で愛に満ちたお方なんだろうか

と思いたくなってしまいます。神様に対する疑問や不満が湧き起こり、神様に対する信頼・信仰が揺るがされてしまいます。

しかしながら、このような疑問や不満の多くは、

聖書の語る「救い」を誤解していることから生じている

のではないかとも思います。

聖書の語る救いというのは、俗にいう「現世利益」を保証するものではありません。

聖書の語る救いは、私たち人間も含めた天地万物の造り主である神様との関係の回復

を意味しています。

それまで絶縁状態にあった神様と私たちの絆が修復され、神様の子供とされ、神様・イエス様と共に新しい人生を生きることができる。

天地万物が創造されたときの本来あるべき姿に戻る。

これが聖書の語る救いであり祝福です。この救い・祝福に必要なものは私たちの熱心さや表面的な行いではありません。必要なのは、

まず神様の前に自らの弱さ・不完全さ・無力さを認めてへりくだること
神様が御子イエス様の十字架と復活を通して私たちを滅びから救い出してくださったと信じること

そして、

聖霊の助けと力にすがりにながら神様の望む生き方をしようと決心すること

です。そうするとき、

死にすら打ち勝つ絶対的な力をもった神様が、いかなる信仰の試練からも私たちを守り、世の終わりにもたらされる最終的な救いを受ける者としてくださる

のです。それまでの間、

この地上にあっては死も悲しみも嘆きも痛みも経験します。

けれども、

あなたはただ独りでこの辛く悲しく厳しい世の中を生き抜く訳ではありません。

この世の誰もあなたを正しく理解してくれないと感じることがあったとしても、

あなたの最大の理解者である神様・イエス様があなたの傍であなたを励ましてくださいます。

信頼していた人から裏切られ、この世の誰も信じられないと感じることがあったとしても、

あなたを決して裏切ることのない神様・イエス様がいつもあなたと共にいてあなたを導いてくださいます。

自分が大事にしていた人やモノを失ってしまって「もう生きていても仕方ない」と感じることがあったとしても、

あなたの嘆き悲しみを完全に理解してくださる神様・イエス様があなたに寄り添いあなたを慰めてくださいます。

聖書の神様はこの世の中から悲しみや嘆きや痛みを全て取り除かれるお方ではありません。むしろ

聖書の神様は、たとえどんなに辛く悲しく厳しい状況にあったとしても、この世の中であなたが生き続けるのに必要な力と勇気を与えてくださる

お方なのです。

ただし、それは全てイエス様が再びこの世に来られるときまでの話です。

というのも、

イエス様が再びこの世に来られ、全てを正しく裁かれる世の終わりのときには、神様は全ての悲しみや嘆き、痛みを取り除かれる

からです。そして、

イエス様を信じる人たちは二度と死ぬことのない復活の身体をもって、悲しみも嘆きも痛みもない新しい天地で神様と共に生きるようになる

のです。これが聖書の語る決して変わることのない救いの真理、「生ける希望」です。

私たちの主イエス・キリストの父なる神が、ほめたたえられますように。【ペトロの手紙一1章3節】

出典:日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳-旧約聖書続編付き』(日本聖書協会、2018年)(新)418頁

参考文献および注釈

  • Davids, Peter H. The First Epistle of Peter. 2nd edition. The New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Wm. B. Eerdmans Publishing Co., 1990.
  • Jobes, Karen H. 1 Peter. Baker Exegetical Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Baker Academic, 2005.
  • McKnight, Scot. 1 Peter. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 1996.
  1. 特に記載がない限り、聖書の引用は日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳』による。
スポンサーリンク
レクタングル(大)広告