礼拝説教の要旨です。
- 日時:2021年4月4日(日)
- 場所:Tokyo Multicultural Church (みんなのためのキリスト教会)
- 説教タイトル・テーマ:「平和があるように」
- 聖書個所:ヨハネによる福音書20章19-23節1
導入
いつの時代も人間社会は争いや問題に満ちているからです。人間の歴史はもめごとや争いごとの歴史といっても過言ではないでしょう。
とりわけ最近は新型コロナウイルスの感染拡大のために行動が制限され、様々なストレスを抱えた人が増えています。
これまで以上に人間関係に注意が必要となっています。もめごとや争いごとも多くなってきているように感じます。
実際、日本では家庭内暴力に関する相談件数が増えているようですし、自殺者の数も例年より増えてきているようです。
誰もが争いや問題のない平和・平安な日常を願い求めています。そんな私たちに向かってイエス様は
あなたがたに平和があるように【ヨハネによる福音書20章19節】
出典:日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳-旧約聖書続編付き』(日本聖書協会、2018年)(新)205頁
とおっしゃっています。
今日の個所を通して、
また、
を共に考えたいと思います。
平和を願うイエス
ヨハネによる福音書20章19節をみると、イエス様の弟子たちはユダヤ人を恐れて家の戸に鍵をかけていたことが分かります。
彼らのリーダーであったイエス様が十字架刑で殺されたように、
からです。そんな恐れに囚われていた弟子たちの真ん中にイエス様が現れ、
とおっしゃいました。
この「あなたがたに平和があるように」という言葉に込められた意味を知るためには、イエス様が弟子たちとの最後の晩餐の席で語られた言葉をみる必要があります。
平和を与えるイエス
イエス様が十字架刑に処せられる前夜、弟子たちと文字通りの最後の晩餐を取られているとき、弟子たちはこれから一体、何が起こるのだろうかと心騒がせていました(参考:ヨハネによる福音書13章全体;14章1節)。
するとイエス様は、弟子たちが心を騒がせず、おびえなくてもよいように、
と約束されました(ヨハネによる福音書14章27節)。
今日の聖書個所でイエス様が弟子たちに「あなたがたに平和があるように」と言われたのは、このヨハネによる福音書14章27節で
だと言えます。
イエス様だけが与えることのできる平和、それは
だと言えます。また、最後の晩餐の席でイエス様は、自分は
とおっしゃっています(ヨハネによる福音書16章33節)。
この世で最も力ある存在、全ての人から最も恐れられている存在は「死」だと言えます。
誰一人として、死から逃れることはできません。
しかし、
ことを示されました。
そこに私たちは、この世が決して与えることのできない平和、イエス様だけが与えることのできる平和を見出すことができます。
平和を広げるイエス
ヨハネによる福音書20章21節でイエス様は弟子たちに「平和があるように」と重ねて告げられた後、
とおっしゃっています。
イエス様に遣わされた弟子たちはある意味、神様・イエス様の代理人としての役割を担っていると言えます(参照:ヨハネによる福音書13章20節;比較:ルカによる福音書10章16節)。
従って、ヨハネによる福音書20章21節においてイエス様は弟子たちに対して、
とおっしゃっていると理解できます。
が、それはもちろん、私たちの力だけでは不可能なこと。
です。ですからイエス様はヨハネによる福音書20章22節で弟子たちに聖霊を受けるようにおっしゃっています。
とはいえ、
たとえ私たちが聖霊の助けに寄り頼みながら、神様・イエス様の代理人として神様・イエス様のことを宣べ伝えたとしても、全ての人が神様・イエス様を受け入れる訳ではありません。
そして、
反対に、
と聖書は語ります(参考:ヨハネによる福音書3章16-21節、36節)。
ということになります(比較:ヨハネによる福音書20章23節)。
結論
十字架上で亡くなり、三日目によみがえられたイエス様は弟子たちにおっしゃいました。
その平和は、イエス様が十字架上で死んでよみがえられる直前、最後の晩餐の席で弟子たちに与えると約束されていた平和でした。
それは、この世が決して与えることのできない平和、イエス様だけが与えることのできる平和です。なぜなら、イエス様が与える平和は、
だからです。また、イエス様が与える平和は、
でもあります。この平和は
です。そして、この
自分が計画した通りに物事が進まず、途方に暮れている方がいらっしゃるかもしれません。
計画そのものが立てられず、やる気さえ起きない方がいらっしゃるかもしれません。
そんなとき、
神様は約束しています。
神を愛する者たち、つまり、ご計画に従って召された者のためには、万事が共に働いて益となる【ローマの信徒への手紙8章28節】
出典:日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳-旧約聖書続編付き』(日本聖書協会、2018年)(新)279頁
とはいえ、問題の渦中にあるときにはなかなか「万事が共に働いて益となる」とは思えないと思います。
目の前の苦しみや悲しみに押しつぶされそうになり、生きる望みや意欲さえなくなってしまうかもしれません。
神様が本当に働いておられるのか、自信・確信がもてなくなってしまうかもしれません。
が、しかし、イエス様はまさにそんな状態にあった弟子たちにおっしゃったのです。
信じていた人に裏切られ、誰も信じられなくなっている人がいらっしゃるかもしれません。
些細なことで喧嘩をした上に謝る機会を逃してしまい、関係がこじれにこじれてしまった方がいらっしゃるかもしれません。
誰からも頼りにされず、独りぼっちで寂しい思いをしている方がいらっしゃるかもしれません。
そんなとき、
たとえ誰かに傷付けられ、誰も信じられなくなってしまったとしても、イエス様はいつもあなたに寄り添い、あなたを慰め励ましてくださいます。
たとえ人間関係がこじれてしまって、どうしようもないと感じることがあったとしても、あなたのうちに住んでおられる聖霊は関係修復のために必要な勇気と力を与えてくださいます。
たとえ誰にも必要にされていないと感じることがあったとしても、神様はあなたを必要としておられます。
神様はあなたを通して、イエス様の与える平和を世に広げようとされておられます。
いついかなるときもイエス様があなたと共にいて、あなたを守り導いてくださっています。
イエス様はおっしゃっています。
参考文献および注釈
- Burge, Gary M. John. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 2000.
- Carson, D. A. The Gospel according to John. Reprint edition. The Pillar New Testament Commentary. Leicester, England; Grand Rapids, Mich.: Wm. B. Eerdmans Publishing Co., 1990.
- Keener, Craig S. The Gospel of John: A Commentary. Peabody, Mass.: Hendrickson, 2003.
- Michaels, J Ramsey. The Gospel of John. The New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Eerdmans, 2010.
- “20年度のDV相談、最多の13万件超 コロナ外出自粛で.” 日本経済新聞. Last modified January 12, 2021. Accessed April 2, 2021. https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG125JZ0S1A110C2000000/.
- “自殺11年ぶり増 コロナ影響か、女性や若者が増加.” 日本経済新聞. Last modified March 16, 2021. Accessed April 2, 2021. https://www.nikkei.com/article/DGXZQODG141IM0U1A310C2000000/.