礼拝説教の要旨です。
- 日時:2023年10月15日(日)
- 場所:Tokyo Multicultural Church (みんなのためのキリスト教会)
- 説教タイトル・テーマ:「御言葉を行う人になりなさい」
- 聖書個所:ヤコブの手紙1章19-27節1
導入
残念ながら、
争いや紛争が起こる理由は千差万別で、様々な要因が複雑に絡み合っています。
しかしながら、そのような複雑な状況も、つまるところは
にその根本原因があると言っても過言ではないと思います。
実際、私たちの生活を見渡してみると、この人間同士の意見・考え方の違いに端を発した「いざこざ」が至る所で見受けられます。
教会内においても、決して人間同士の「いざこざ」や問題がない訳ではありません。
この世の中で生きる限り、
と言えます。
今日からクリスマスシーズンの始まりまでの間、Tokyo Multicultural Church (みんなのためのキリスト教会)ではヤコブの手紙から説教をしていきます。
この手紙全体を読んでいただくと分かりますが、この手紙が宛てられた人たちもまた
ことが分かります。
ヤコブは、そのように
を記しています。
今日はこのヤコブの手紙を通して、
を共に考えていきましょう。
神の言葉を聞いて実践する
ヤコブが手紙を宛てた人たちの悩み苦しみは主に、
だと考えられます(参考:ヤコブの手紙1章9-11節; 2章1-13節; 5章1-6節)。
そして恐らくですが、この身分の違いからくる対立は
ようです。
このようにある意味、手の施しようのないほどに悪化してしまった教会内の人間関係を耳にしたヤコブは、その状況を回復すべく「ヤコブの手紙」を書いた訳です。
そして特にヤコブは、今日の聖書個所となるヤコブの手紙1章19節で
聞くに速く、語るに遅く、怒るに遅くある【ヤコブの手紙1章19節】
出典:日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳-旧約聖書続編付き』(日本聖書協会、2018年)(新)412頁
ように勧めています。
始めの「聞くに速く」というのは、前後の文脈を考えると、
ことが含まれていると理解できます(参照:1章18, 21-22, 25節)。
神の義を実現する
次の「語るに遅く」についても、文脈および当時の人々の状況を考慮すると、
という意味だと理解できます(参考:ヤコブの手紙3章9-10, 14節; 4章11節)。
最後の「怒るに遅く」はそのままの意味ですが、文脈を考えると、特に
ことと言えます(参考:1章3-4, 12節; 5章7-11節)。そして、そのように勧める理由は、
からだとヤコブは記します(1章20節)。
ここの「神の義」というのは、この後の個所を読んでみると、
であることが分かります(比較:1章27節; 2章1-6節; 3章17-18節)。
結論
ヤコブが手紙を宛てた当時のユダヤ人クリスチャンたちは互いに悪口を言い合うだけでなく、時として相手を殺してしまうほどに教会内の人間関係が悪化してしまっていました。
そのように人間関係で悩み苦しむ教会内のクリスチャンたちに対してヤコブは、
と勧めます。
さらには、
とも勧めます。
ここで重要なことは
ことです(ヤコブの手紙1章22, 25, 27節)。が、
と思う人は決して少なくないと思います。
では、
御言葉を聞いて実践するために大切なことに関して、今日の聖書個所から少なくとも三つのことが言えます。
一つ目は
ことです(参照:ヤコブの手紙1章27節)。
この世の社会問題の只中に身を置きながら、その社会の価値観や考え方に染まることなく自分を守るためには、
必要があります。また
必要があります。このように
こと、それが御言葉を聞いて実践するために大切な二つ目のことです(参照:1章25節)。
あなたは今、仕事や家庭の忙しさの中で心の余裕がなくなり、神様との時間、また神の家族との時間がなくなってはいないでしょうか。
仕事も家庭ももちろん大事です。
でも、
です。
神様との時間、神様の御言葉に耳を傾ける時間、神の家族との交わりの時間が少なくなってくると、世の価値観や考えに流されるようになり、御言葉を行うことは不可能になってしまいます。
また
御言葉を聞いて実践するために大切なことの三つ目は、
ことです。1章21節でヤコブは私たち
と語ります。しかも、その御言葉は私たちを救うことができる御言葉です。
これはつまり、
ということを意味しています。
ただ、
とヤコブは言っている訳です。聞き慣れたキリスト教用語で言い直すならば、
という訳です。
神様を中心として神様を第一とする生き方、即ち、御言葉を聞くだけでなく御言葉を行う生き方は決して簡単な生き方ではありません。
必要があります。そうすることで、少しずつではありますが、
これこそ、神様が私たちに望まれる信仰生活の在り方です。
自分の思い・考えではなく、神様の思い・考えを第一にして生きようとするときに大切なことは、
ことです。
神様はご自分の命に代えても惜しくないほどにあなたを愛してくださっています。
神様はあなたが神様中心の生活をするから愛してくださる訳ではありません。
神様はただあなたの存在そのものを無条件に受け入れ、愛し、必要としてくださっています。
イエス様の十字架には、その神様の大いなる愛が示されています。
それほどまでにあなたを愛している神様があなたに望んでいらっしゃること、それは
ことです(ヤコブの手紙1章22節)。
参考文献および注釈
- McCartney, Dan G. James. Baker Exegetical Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich., 2009.
- McKnight, Scot. The Letter of James. The New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Eerdmans Pub. Co., 2011.