礼拝説教の要旨です(実際の説教の音声はこちらから)。
- 日時:2020年12月27日(日)
- 場所:Tokyo Multicultural Church (みんなのためのキリスト教会)
- 説教タイトル・テーマ:「生ける希望」
- 聖書個所:ペトロの手紙一1章3-9節1
導入
今日は2020年最後の日曜礼拝です。2020年を振り返ると間違いなく、皆の記憶と歴史に残る一年だと言えます。新型コロナウイルスが猛威を振るい、私たち人類の生活を一変させました。
誰もが不安と恐れの中で生活を続けています。
このように何が起こるか分からない不安定な世の中にあって心の拠り所となるのはやはり何があっても決して変わることのない聖書の真理です。今日は聖書の語る真理の中の真理ともいえる「救い」について共に再確認していきます。
新しい人生
今日の聖書個所となるペトロの手紙一は、イエス様の弟子の一人ペトロが書いた手紙で、宛先は現在のトルコの各地に散らばっていたクリスチャンたちです(ペトロの手紙一1章1節)。
彼らはイエス様を信じる信仰のために各地で迫害を受けていたようです(1章6節; 2章13-17節; 3章13-17節; 4章4、12-19節; 5章8-9節)。
そんな彼らに対して、
ために書かれたのがこの手紙です(5章12節)。今日の個所はその中でも特に、イエス様を信じる信仰がもたらす救いがどのようなものかを説明しています。
ペトロは1章3節において、
と言っています。ここで「新たに生まれさせられた」とは神様に対する私たちの立場・身分が新たにされることを意味しています(参考:ヨハネによる福音書1章13節; 3章3-8節)。
具体的には、
ことを指します(参照:ヨハネによる福音書1章12-13節)。このとき、
というのも、私たちがイエス様を信じ従おうとすることの中には、それまでの自分中心な古い生き方から神様を中心とした新しい生き方(神様が望む生き方)をしようと決心することが含まれているからです。
ようになる(比較:ペトロの手紙一1章22-23節; 4章2-4節;ヨハネの手紙一3章9節;コリントの信徒への手紙第二5章17節)。それがペトロの「新たに生まれさせられた」という言葉に込められた意味です。
生ける希望
ともペトロはペトロの手紙一1章3節で記しています。ここでペトロの語る「生ける」希望というのは、十字架に架かって死んで終わりではなく、死者の中から復活して今も生きておられるイエス様に根差した「生ける希望」。即ち、
そして、
です。
世の終わりというのは、イエス様が再びこの世に来られて、全てを正しく裁かれる(最後の審判)ときです。そのとき、
と聖書は約束しています(参考:フィリピの信徒への手紙3章20-21節;ヨハネの黙示録21章1-4節)。そこには
聖書の語る最終的な救いが実現された状態です。
その保証・確証として、神様は御子イエス様を死の中から復活させられました。そして
のです(ペトロの手紙一1章5節)。
当時のクリスチャンたちも例外ではありませんでした(6節)。彼らはむしろ、今の時代に生きる私たちよりもはるかに厳しい迫害に遭いました。
彼らの中にはイエス様を信じる信仰を捨てて、それまでの生活に戻ろうかと真剣に悩み苦しんだ人が多くいたと思います。そうした
のです(比較:コリントの信徒への手紙一10章13節)。
そして、
とペトロは記しています(ペトロの手紙一1章7節)。
結論
お方です。
私たちは皆、自分たちが犯した罪によって滅ぼされる定めにありました。
しかし、神様の独り子イエス様が私たちの受けるべきであった罪の罰(滅び)を身代わりに受けてくださったのです。その
のです。
神様の子供として新しい人生を歩む私たちには、どんなに暗い世の中にあったとしても決して無くなることのない「生ける希望」が与えられています。それは、
そして、
です。その生ける希望の根拠となるのがイエス様の復活であり、死にすら打ち勝つことのできる神様の絶対的な力です。
今の世の中は不安と恐れに満ちています。
新型コロナの感染拡大がいつ収束するのか、明確な回答を持っている人は誰一人いません。
このような状況にあって、誰もが
と思いたくなってしまいます。神様に対する疑問や不満が湧き起こり、神様に対する信頼・信仰が揺るがされてしまいます。
しかしながら、このような疑問や不満の多くは、
のではないかとも思います。
聖書の語る救いというのは、俗にいう「現世利益」を保証するものではありません。
を意味しています。
それまで絶縁状態にあった神様と私たちの絆が修復され、神様の子供とされ、神様・イエス様と共に新しい人生を生きることができる。
これが聖書の語る救いであり祝福です。この救い・祝福に必要なものは私たちの熱心さや表面的な行いではありません。必要なのは、
そして、
です。そうするとき、
のです。それまでの間、
けれども、
この世の誰もあなたを正しく理解してくれないと感じることがあったとしても、
信頼していた人から裏切られ、この世の誰も信じられないと感じることがあったとしても、
自分が大事にしていた人やモノを失ってしまって「もう生きていても仕方ない」と感じることがあったとしても、
聖書の神様はこの世の中から悲しみや嘆きや痛みを全て取り除かれるお方ではありません。むしろ
お方なのです。
ただし、それは全てイエス様が再びこの世に来られるときまでの話です。
というのも、
からです。そして、
のです。これが聖書の語る決して変わることのない救いの真理、「生ける希望」です。
私たちの主イエス・キリストの父なる神が、ほめたたえられますように。【ペトロの手紙一1章3節】
出典:日本聖書協会『聖書 聖書協会共同訳-旧約聖書続編付き』(日本聖書協会、2018年)(新)418頁
参考文献および注釈
- Davids, Peter H. The First Epistle of Peter. 2nd edition. The New International Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Wm. B. Eerdmans Publishing Co., 1990.
- Jobes, Karen H. 1 Peter. Baker Exegetical Commentary on the New Testament. Grand Rapids, Mich.: Baker Academic, 2005.
- McKnight, Scot. 1 Peter. The NIV Application Commentary. Grand Rapids, Mich.: Zondervan, 1996.